何年も前の話なんだけど、その時付き合い始めたばっかの彼女がホラー映画が好きだって言うから
じゃあ思い切り怖がらせてやろうと思って、当時最凶に恐ろしいと評判だった「呪怨」に誘った。
普段からガラガラの映画館、しかも平日の午前中ということもあって客はなんと俺達だけ。
ますますいい感じだぜ、怯える彼女は可愛いだろうな～なんて思ってたんだが、選んだ映画が悪かった。
怖いなんてもんじゃない。怖すぎ！！
これはイカンと思い隣にいる彼女の様子を伺うと、彼女は嬉しそうに笑いながら映画を見てた。
俺が一番怖かった、血塗れの女が階段を這い下りてくるシーンでは手を叩いてゲラゲラ笑ってる。
映画が終わって呆然としながら歩いてると「トシオくん可愛かったねー」と言われた。
トシオくんというのは血塗れ女の息子で白塗りの幽霊だ。俺にとっては氏ぬほど怖い存在だ。
その時、俺はこの先この子と付き合っていくのは無理かもしれないと思った。