476: 名無し物書き@推敲中? 2004/09/12 21:51:38
おい。もう秋だな。 

風がだんだん冷たくなり、また空気が澄んで天が高くなる。 
向日葵の残骸、いつの間にか聞こえなくなったセミの合唱。 
懐かしいキンモクセイの香りが花を掠める。 

すっかりクーラーの要らなくなった電車を降りて家路を急げば、 
まだ冬は遠いというのに、なぜか夜風が身にしみる。 
残業続きで疲れた体。 
明るい家々の窓からは時折笑い声が聞こえ、残業から帰った夫に出したのだろう 
シチューの良い香りがする。 
変に凝ったものではなく、オーソドックスな、野菜たっぷりの鶏肉シチュー。 
羨ましい。 
俺は、さっきローソンで買った唐揚弁当のラップを破り、食うだけ。 
独りで。 

こんな毎日が続く。 
この秋を乗り切っても、次にやってくるのは冬。 
恋人に、配偶者に、親に、子供に、愛する人のために贈り物を選ぶ人々を尻目に、 
俺は自分の欲望を満たすためだけの買い物をする。 
「俺は自分の金は自分で全部使えるんだ、それが嬉しいんだ」 
意識の外で自分に言い聞かせる。 
愛する人のために身を削るのは、利己的に生きるよりずっと幸せなのだということに 
気づかないふりをする。 
愛情を惜しみなく周りに与えれば、空いた部分は幸せで満たされる。 
愛情を自分だけに向けて疑い深く生きていれば、大切に抱えているその愛情が 
価値の無いものへと変質していく。 



一年中それが続く。 




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俺は幸せにはなれないと気づいた


 

477: 名無し物書き@推敲中? 2004/09/12 23:29:40
>>476 
三歩進んで二歩下がれ。

478: 名無し物書き@推敲中? 2004/09/13 00:39:52
>>477 
今日延々とその部分だけを歌いながらそれを実行していた 
酔っぱらいサラリーマンを見かけたよ 
ちゃんと帰りつけたんだろうか
 
引用元: 奥様は見た!!!因果応報 その21