245: ◆GZ9LcuBAFk 2013/03/30 00:31:50 ID:kiv8TQWr0
その日は休日ということもあって、朝からバタバタしてたんだけど 
ひと通りやる事が終わり 
少し休憩をしていた夕方頃、呼び鈴を鳴らす音が聞こえた 

玄関の方から、「ごめんください」という声がしたので 
俺は駆け足で向かった 
そこには、この前の女の子が立っていた

248: ◆GZ9LcuBAFk 2013/03/30 00:37:33 ID:kiv8TQWr0
俺「こんにちは…」 
女の子「あ… この前はどうも」 
ときまり悪そうに言ってきた 

俺「いえいえ…こちらこそ」 
俺もどうしていいか分からず、どぎまぎして応対する 

女の子「これ、回覧板ですんで…よろしくお願いします」 
俺「あ、わざわざどうも」 
女の子「いつもの事ですから」 

そう言うと、「それじゃ」とだけ言い残し 
何か急いでいたのか、そそくさと女の子は出て行ってしまった

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249: ◆GZ9LcuBAFk 2013/03/30 00:41:20 ID:kiv8TQWr0
相変わらず、何か引っかかる人だなぁと思いつつ 
俺は親父さんに回覧板を渡す前に 
チラッと開いて中を見てみることにした 

「河川及び路地清掃ご協力のお願い」 
そこにはそう書かれた紙切れが一枚はさんであって、 
俺は最初「なんだこれ」とまったくピンと来なかった

250: ◆GZ9LcuBAFk 2013/03/30 00:45:31 ID:kiv8TQWr0
俺は不思議に思いながら、届いた回覧板を親父さんに渡した 
俺「これ、例のあの子が持ってきてくれました」 
親父さん「おおそうか、ありがとう」 
親父さんは眼鏡をかけて、帳簿をつけながら受け取ってくれた 

親父さん「何か言われた?w」 
俺「いえ、何も…?w」 
親父さんは、俺と「カドワキ」という女の子の関係を楽しんでいたのだろうか 
正直、女の子は俺の好みではあったけれどw

252: ◆GZ9LcuBAFk 2013/03/30 00:50:42 ID:kiv8TQWr0
俺「それより、この川と道の清掃っていうのは…」 
親父さん「ああ、2月に一度くらいね、 
ここらの町内会の人達で近所の川や道を掃除するんだ」 

俺「掃除…?」 
親父さん「え、そうだよ?○○君のとこではなかったの?」 

いくらそういう類のことを親に任せきりだったとは言え 
初めて耳にする風習だった

253: ◆GZ9LcuBAFk 2013/03/30 00:57:29 ID:kiv8TQWr0
俺「でもそういうの、何かいいですね。」 
親父さん「みんな、ここが好きだからね」 
そう言って親父さんは笑った 

俺「いいなぁ…」 
俺がテンションを上げて言うと、親父さんは何か察したのか 
親父さん「○○君、今度のやつ行ってみたら?ちょうどいい」 

俺「いいんですか?」 
親父さん「いいよいいよ。みんな若い人が来てくれると喜ぶし」 
親父さんはそう言って俺の肩を叩いた 

そうか、こんなものがあったんだ、と少しワクワクした 
地区の行事、地域のつながり。 
なんだかとても温かい 俺はそういうのに憧れてたんだ

254: ◆GZ9LcuBAFk 2013/03/30 00:58:17 ID:kiv8TQWr0
ごめんなさい、今日はこの辺で落ちます 
明日はもっと早い時間に来ます 
見に来てくれてる人、本当にありがとう

277: 名も無き被検体774号+ 2013/03/30 12:02:46 ID:CzfqiKtC0
俺は会社でグズ扱いされててもう氏にたくなって退職届けを出した 
そしたらいなくなられたら困るって言われ 
「下請けならやってやる。こんな会社には居たくない」って言ってやったら 独立させてくれた。 
なんか変な感じで自分の城を持つことかできてしまった。 
ちな社員の時の年収2倍で休みが増えた。

279: 名も無き被検体774号+ 2013/03/30 13:34:55 ID:2kop/Dc80
>>277 
くわしく 
どんな業種?

280: 名も無き被検体774号+ 2013/03/30 14:04:49 ID:cuC1BgJT0
>>279 
本気で聞いてるのか

282: 名も無き被検体774号+ 2013/03/30 15:29:01 ID:CzfqiKtC0
>>279 
職人 
機械配線の電気屋

309: ◆GZ9LcuBAFk 2013/03/31 20:37:18 ID:MIiu9CEO0
こんばんは 
みんな保守ありがとう 
ちょっと昨日から体調崩しちゃって、今日は書けそうにない 
明日書くので、それまで待ってください 
本当にごめん

310: 名も無き被検体774号+ 2013/03/31 20:40:03 ID:6btRlD+G0
>>309 
お大事に~

313: 名も無き被検体774号+ 2013/03/31 21:33:17 ID:wbILa/C70
>>309 
お大事に(´・ω・`)

314: 名も無き被検体774号+ 2013/03/31 21:34:02 ID:KZ/HBU49i
>>309 
追いついた!お大事に~

315: 名も無き被検体774号+ 2013/03/31 22:20:55 ID:+Iny9S8Q0
>>309 
早く良くなって 
早く完結させて欲しいどす

340: ◆GZ9LcuBAFk 2013/04/01 23:42:52 ID:axXfjGYH0
体調が一向に治らない… 
本当にごめんなさい。 
明日は必ず来ます、季節の変わり目は大変だ 
みんなも気をつけて 本当に申し訳ない

341: 名も無き被検体774号+ 2013/04/01 23:46:52 ID:LtZ450uF0
>>340 
大丈夫か? 
早くよくなれよ 
お大事に

342: 名も無き被検体774号+ 2013/04/01 23:47:17 ID:XUy5AjNa0
>>340 
お大事に~

343: 名も無き被検体774号+ 2013/04/02 00:54:37 ID:ciqMcfYDi
>>340 
代わりに保守しておくぞ 
お大事に

354: ◆GZ9LcuBAFk 2013/04/02 22:11:59 ID:odGPxveo0
こんばんは 
パソコンは直ったものの 
体調はむしろ悪化しました… 

マジでごめんなさい 
ほんと早く直します 
できたら保守お願いします 
すぐ治します

363: 名も無き被検体774号+ 2013/04/03 01:05:55 ID:0wI7Aqzk0
>>354 
おい!病院は行ったのか?

355: 名も無き被検体774号+ 2013/04/02 22:15:29 ID:GFn0tXcs0
あと2時間で頼む

427: ◆GZ9LcuBAFk 2013/04/06 17:28:31 ID:iH3diVCK0
こんにちは 
時間開けちゃってごめんなさい… 
もう体調万全です 

しばらくぶりですが、続き書きます。

429: ◆GZ9LcuBAFk 2013/04/06 17:33:37 ID:iH3diVCK0
河川清掃は朝早くから行われる 
地区にはお年寄りが多いので、早い時間帯からやるのは昔からの慣例だそうだ 

特にどこをやるだとか、何をしなきゃならないという決まりはなく、 
各々が開始の時間になると外に出てきて 
自分の家の周辺の側溝?であったり道を掃除する 

初対面の人が大勢いるだろうから、かなり緊張した 
タオルを首にかけて軍手して…変な感じだったなw

430: ◆GZ9LcuBAFk 2013/04/06 17:39:58 ID:iH3diVCK0
とりあえず、俺は宿の敷地前の道の雑草にとりかかった 
草取りなんて、学生時代の行事でやった以来だ… 
実家の庭の草取りくらいしろ、とよく怒鳴られたっけ…なんて思い出した 

草を抜いていると、何となくニート時代の事を思い出してモヤモヤした 
それを振り払いたくて、しばらく路端に生えている雑草取りに熱中していると、 
カランカランと音を立てて、誰かが近寄ってきた

433: ◆GZ9LcuBAFk 2013/04/06 17:50:13 ID:iH3diVCK0
そこには、例の女の子が立っていた 
髪を結んでいたので、最初すぐに誰か分からなかった 
俺に気づいて、目を丸くした 

女の子「あ、おはようございます…」 
俺「ああ、おはようございます」 

女の子「空き缶を集めてるので…もしあれば…」 
気まずいのか、恥ずかしそうに話しかけてくる 
でも俺はその気遣いが嬉しかったし、知り合いがいて良かったと思えた

434: ◆GZ9LcuBAFk 2013/04/06 17:55:01 ID:iH3diVCK0
しかもこの偶然、俺にとってはとてもラッキーなものだった 
偶然持て余していた空き缶ゴミがあったし、 
その子も俺の近くで一緒に草を取るような流れになった 

俺「親父さんに、この近くに住んでると聞きましたが…」 
女の子「ええ…目と鼻の先ですよ。本当にすぐそこです。」 

ぶっきらぼうではあるが、会話が成り立つ 
それがとても嬉しくて、ウキウキして草取りに励んだ

439: ◆GZ9LcuBAFk 2013/04/06 18:30:34 ID:iH3diVCK0
こんなに可愛らしい人と一緒に草取りしてる事が不思議だった 
というより、なんだかシュールで笑えてきそうな位だった 

俺「この辺っていいところですよね」 
女の子「田舎ですからね…何もないですけど」 
こんな他愛もない会話を繰り返していた 

話し方にトゲはあるけど、きっとそれがこの人なんだろうって思って 
最初ほど違和感や変な印象は受けなくなった 
でもなんでこんなにドライなんだろう、という疑問はあったけど

440: ◆GZ9LcuBAFk 2013/04/06 18:37:14 ID:iH3diVCK0
それでいて、やけに生真面目で 
草をまとめると「それ、こちらの袋にどうぞ」とか、 
靴が汚れそうになると「ああ、靴が汚れちゃいますよ」 
とか言ってきて、なんだかとても不思議な感じだった 

本当のアナタはどっちなの?って感じで 
全然性格とかそういうのが掴めなかった 
一緒にいて、特段居心地が悪いとかはなかったんだけど 

今までに会ったことのない影を持った感じの人だったので 
すごく興味深かった

443: ◆GZ9LcuBAFk 2013/04/06 18:50:52 ID:iH3diVCK0
しばらく一緒になって草取りして、時間が過ぎた 
すると唐突に女の子が立ち上がった 

女の子「あ、時間ですね」 
俺「え?何のですか?」 
俺がそう言うと女の子は嫌そうな顔をした 

女の子「知らないんですか?」 
俺「ええ…」 
女の子「取った草を燃やす時間なんです」 
ため息混じりで教えてくれた。やっぱり、まだまだイラッと来るところはあるw

444: ◆GZ9LcuBAFk 2013/04/06 18:57:05 ID:iH3diVCK0
女の子「一箇所に集めて草を燃やすんです。そこで簡単なお茶会もします」 
俺「あ、そういう事なんですか…」 
女の子「集まりだって大切な行事の一貫ですからね?一人だったらどうしたんですか?」 
何故か知らないが怒られた 

俺に落ち度があったとは言え、なんだかあんまりだ… 
女の子に促されるまま、草が目一杯入った袋を抱えて歩いた 
小さな空き地に出て、すでに焚き火が行われていた 
その周りを、何人もの人が取り囲んで談笑していた

445: ◆GZ9LcuBAFk 2013/04/06 19:02:48 ID:iH3diVCK0
女の子「お疲れ様です」 
「あ、カドワキさんご苦労様ー」「カドワキちゃんだ、いつもありがとねー」 
輪に入っていった女の子は次々と声をかけられる 
地区の人からの評判はとても良いみたいだ 

コミュニティ、人付き合い…そんなワードが頭に浮かんだ途端 
俺は緊張して足が前に出なかった 
家に引きこもっていた時間が長かった分、こういう場が本当に苦手になってたんだ 
どうしたらいいんだ、と顔が熱くなって変な汗が出そうだった

447: ◆GZ9LcuBAFk 2013/04/06 19:21:46 ID:iH3diVCK0
俺がどうしようもなくて輪に入らず立ち尽くしていると 
女の子が向こうから「来なよ」と言って手を振った 
俺はそれでもダメで、グズグズとして動けない 

すると、女の子が輪から飛び出してきて俺の前に来た 
「大丈夫だから」そう言って笑って、強引に俺の腕を引っ張っていった 

女の子「〇〇さんとこで働いてる俺さんです」 
俺「あ…初めまして。〇〇と言います」

449: ◆GZ9LcuBAFk 2013/04/06 19:31:43 ID:iH3diVCK0
「あー◯◯さんとこの人なんだ」「まだ若いねーよろしくねー」 
と、輪の中に入ると瞬く間に会話が走りだした 

近くにいたお婆ちゃんに「疲れたでしょ」と言ってチョコレートを渡された 
「どこからきたの?」とか「若いのに行事に来て感心だ」 
とか、地区の人はみんな暖かくて、本当に安心した 

女の子が小声で「ね、大丈夫でしょ」と笑ってた

450: ◆GZ9LcuBAFk 2013/04/06 19:35:47 ID:iH3diVCK0
その時の笑顔が印象的で、俺はドキッとしてしまった 
正直、俺はこの時に女の子の事を好きになったんだと思う 

勇気が出なくて一歩踏み出せなかった俺を 
腕を引いて輪の中に連れて行ってくれた 
その瞬間のときめきが、忘れられずにいたんだよ 

女の子がいたから、地区の人達とも関係を築けて 
打ち解ける事ができた 
女の子が、俺を助けてくれた そんな風に思ったんだよな

453: 名も無き被検体774号+ 2013/04/06 20:17:39 ID:ravHIYrV0
仕事によっちゃ土日は忙しいかもよ

454: 名も無き被検体774号+ 2013/04/06 20:43:54 ID:j9JRVYXc0
やっと来たww 
待ってたぜ!

456: 名も無き被検体774号+ 2013/04/06 21:30:22 ID:iZTdb2hb0
ずっと保守しててよかった!

457: 名も無き被検体774号+ 2013/04/06 21:48:20 ID:sXqxyigI0
ぐっときた

459: 名も無き被検体774号+ 2013/04/06 23:24:58 ID:iZTdb2hb0
今日はおしまい?

460: ◆GZ9LcuBAFk 2013/04/06 23:35:34 ID:iH3diVCK0
ごめん、ちょっと急用だった 再開します 

草を燃やす焚き火をみんなで囲いながら 
水筒に入った温かい緑茶をもらって団欒する 
みんなが他愛もない会話で笑っていて 

俺は自分がそんな場所に居合わせられる事に感動した 
前の俺だったら考えられない 
宿で働き始めたこと、女の子と出会ったこと 

そういうことが全部作用して 
こういう事が楽しめるくらいに、段々変化してきてたんだと思う


【超感動長編】クズな俺でも夢を持った
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引用元: クズな俺でも夢を持った