小学校高学年か中学生かってくらいの普通の男の子と 
だらしない格好した三十代男性（父親） 
男性は始終俯いて仏頂面だった 

子「なー、おかんに謝りいや」 
子「おかんもちゃんと筋通して謝りさえすれば許さん事もないやろ」 
子「そんで働きいや。親父が働いてんの見たん幼稚園行く前が最後やで？」 
子「バイトでもええやん。家に金入れえや」 
子「俺おかんの働きと貯金で食わせて貰ってガッコ行かしてもろてんねんで」 
子「作文で親の仕事書くとき、両親おるのにおかんの事しか書かれへんかったで」 
子「だって親父働いてもおらんし、飯も作らんし、掃除もせんし、何もせんし」 
子「俺中学でたら働くで？でも金渡すんはおかんにだけや 
　　おかんが親父に金渡すなら、俺は家出て働くよ。おかんにも金渡さんよ」

親「………オマエに言われたない」 

子「あんなあ、俺親父嫌いやないねん。俺生まれたん親父のお陰やしな」 
子「でも俺小学校上がった時に、親父みたいにはならんて決めたよ」 
子「親父に真似したいとか尊敬できるとかそんなとこ、どんだけ考えても見つけられんかった」 
子「なあ、いい加減にしてくれや。子供にこんなん言わせんなや」 
子「大人やろ？三十越えてだいぶ経つやろ？半分生きてない子供に言わせる言葉ちゃうやろ」 

ドトールで隣の席だったんだけど 
入るときも親父の分のコーヒーを買ったのは子供だったんだ…