295: 名無し物書き@推敲中? 2004/06/18 21:03:00
俺がまだ小学校に上がる前父親が交通事故で亡くなり、母親は 
女手1つで俺を育ててくれた。 
父親と結婚する前仕事らしい仕事もしたことがなかった母親は 
お弁当屋の調理やコンビニエンスストアのレジなどのパート勤 
務で生計を立てていた。 
当然家は貧しく、俺は高校を卒業したものの、折からの不景気 
で、就職もできず家でぶらぶらしてばかりいた。 
そんな俺に母親は「そのうちいい仕事が見つかるよ」と独り言 
のように呟いては無理に明るく笑いかけていた。 

ある日、母親は「パソコンぐらい使えないと就職も難しいのか 
ね」と呟き、俺を電器店に連れていった。 
パソコンのことは何も知らない母親と俺は店員に勧められたパ 
ソコンを買い、インターネット接続の作業も頼んで店を後にし 
た。 
帰るとき母親は「25万円かー、こんな大金を使うのは父さん 
が氏んで初めてだね」と笑った。 
新たに増えた月々15000円のローン返済のために母親は、パー 
トを増やし夜遅くまで働くようになった。 
俺の方は無料で遊べるネットゲームを見つけ、その面白さに魅 
せられ、来る日も来る日もひたすらゲームばかりしていた。 
いつもパソコンに向かっている俺を、パソコンの学習と思い込 
んだ母親は「パソコン上手になった? いい仕事が見つかると 
いいね」と言っては笑ってた。毎日働きづめの母親の笑い顔は 
どこか疲れていて、俺はその笑顔を見るとゲームばかりやって 
いる自分が情けなくなった。

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