582: 名無し三等兵 2002/11/24 00:16:00
 友達は電話の交換をやったらすこしは眠気もさめるかもしれないし、
夜はあまり仕事も多くないから、やってごらんよといってくれました。 

 ぱあっと赤いランプがつくとその同じ色のランプの課へつなぎます。
話の内容は聞けませんが、おわるとまたランプがつくので簡単でした。
いくらか気分も変わりつかれや眠気も忘れたようでした。 

 と、突然外部からの連絡です。男の人の声で一人の声ではありません。
「変な連絡よ」私はすぐ友だちにかわってもらいました。
普通は話は交換では聞かないのですが、友だちはどこへもつながずに、
だまって聞いています。 そして私に早くそばへきて聞いてという合図をします。
私は何かさっぱりわからないままに耳にその声を受けてみました。 

 どこからかしら、なぜかしら、と不審顔で、
でも聞こえてくる声は非常に若々しく元気な声です。しかも何人かの声です。 

「聞いてください。聞いてください。 
 ぼくたちの最後の声を、聞いてください。 
 だれか知りませんが、聞いてください。 
 ぼくたちのわかれのことばを 
 祖国よさらば、元気にいきます。 
 ぼくたちは明日の朝、敵艦に体当りします。 
 ぼくたちは進んでこの任務を果します。 
 ぼくたちは国のためよろこんでいきます。 
 あすの朝、敵艦に体当りしたラジオでも聞いたら、ばんざいといってください。」 

 口々にそう云って、最後にみんなで歌をうたってくれました。 
 それは当時はやっていた歌だったと思います。 

“さらば元気でいてくれよ 
 ながの別れが明日となる 
 恋の豊橋 あとにして 
 ゆめは 爆音に 
 ああ 消えてゆく” 

 そして「さらば さらば さらば」と口々にいい、
「がんばってくださいね。最後の声を聞いてくださってありがとう。」 

 もうそれっきり再び何も聞えてはきませんでした。 

 友だちと二人で聞いていたその声は何と元気な声だったでしょう。
 少しの悲しさも、さびしさも感じられませんでした。 
 
それなのに友だちと私は涙をぽろぽろ流しながら「さよなら」と唯それだけしかいえませんでした。

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583: 名無し三等兵 2002/11/24 00:42:00 ID:HlRi55Bg
このスレを全部読みましたけど、泣けると言うより物凄く鬱に成る....

584: 名無し三等兵 2002/11/24 01:52:00
戦争の話で鬱になるのは 
とても真っ直ぐな心を持っている証拠だ。 
その心をいつまでも失わないで。

586: 名無し三等兵 2002/11/26 10:25:00
ほしゅ

引用元: 泣ける話@軍事板第4章