296: No名無し 2007/05/24 11:22:15 ID:PuoXiGhP
十年前の私が11歳の時両親は離婚しました。 
いつも通り学校から帰ったら、母は荷物と共に消えていました。 
たった一つ、莫大な借金だけを残して。 
父と二人暮し。父の帰りが遅いと、なんでも一人でこなしました。 
家事にごはん。催促の電話、ガラの悪いおじさん達の相手。 
地獄のようでした。 
鳴り止まない電話が怖くて、電話線を切ったり。 
居留守を使う為、テレビも見れなかった。 
ほんとに、安っぽいドラマのような毎日でした。 
だから大好きだった母を嫌いになるのは凄く簡単でした。 

それでも私は母に会いたかった。 
会いたくて仕方なかった。 

十年間わからなかった母の居所をようやく父から聞かされた。 
真っ直ぐ会いに行きました。仕事を休んで。 

だけど母は・・・氏んでました。 
病院のベッドで。 

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最初、理解出来なかった。 
母はまだ48のはずなのに、そこにいたのは70くらいのヨレヨレのおばあちゃんで。 
私の記憶にある母の面影など何一つなかった。 
もう何年も目も見えず、喋る事も出来ず、歩く事もままならず、寝たきりだったそう。 
涙も出なかった。葬式でも。 

母の少ない荷物を整理していると、一枚の写真を見つけました。 
若い父と母、そして小さな赤ん坊。 
中学の頃、母が写っている写真は全て燃やしちゃって。 
だからそれは、唯一の家族写真でした。 

写真には私の知ってる母がいました。 
私とそっくりと言われていた、母がいました。 

その写真を見て、ようやく私は母の氏を理解出来たんです。 

私は母に会いたかった。 
会って、言ってやりたい事がいっぱいあった。 

ふざけんな、バカ野郎、氏んじまえ 

いっぱい言葉を用意してたのに、何一つ言えなかった。 
それが、悔しくて悔しくてたまらない。 
聞きたいことだっていっぱいあったのに・・・ 

お母さん。私はお母さんのせいで、沢山辛い目に合ったよ。 
ずっと怖くて、寂しかったよ。 
勝手に消えて、勝手に借金作って、勝手に氏んでった・・・ 
絶対に許さないから。 
氏んだって許さないからね。 

でもね、ただ一つ、答えてほしかったよ。 

ねぇお母さん。 
私の事、愛してくれてた?
 
引用元: 【泣ける話】