417: 癒されたい名無しさん 2007/08/20 22:24:51 ID:HaGGKvs7
泣ける話とか何とかっていうか、自分の中でやっと一段落したので書かせて下さい。 

中学生の頃から付き合っていたA君が、ある日突然脳梗塞で倒れました。 
脳梗塞って、もっと年配になってから生活習慣病とかが原因でなるものだと思っていたのに、 
まさか彼がそんな事になるとは思ってもみなかったんです。 
だって、彼はスポーツマンだったし、甘いものも嫌いではなかったけど、そんなに食べる方ではなかったから。 
何より彼は若かった。 
サッカーも上手くて 
「俺、スカウトされちゃったらどうしよー」 
なんて冗談言いながら笑ってた毎日だったのに。 
それが急に倒れて、ずっと病院のベッドで寝たきりなんて…信じられませんでした。 
もちろん毎日のようにお見舞いに行って、いっぱい彼と話しました。 
昔から冗談まじりで話していた結婚の話とか、赤ちゃんの名前の話とか、たくさんたくさん…。 
でも、日が経つにつれて彼は徐々にやせ細っていき、話をするのも辛くなってきたようでした。 
うまく言葉が発せなくなってきたのです。 
そして時々私がお見舞いに来た事すら忘れてしまうようになりました。 
そんな彼を見ているのが辛くて、見ていられなくて、時々過呼吸を起こしてしまう事もあり、 
以前は時間があれば病院に通っていたのに、少し病院へ行く回数が減ってしまいました。 
学校の教室では、彼なんて最初から居なかったかのように過ごすクラスメイトも居たし、 
「お前まだAと付き合ってたんだ?」 
なんて言われる事もあった。 
まるで私を悲劇のヒロインみたいな目で哀れんでくる先生も居た。 
それがとても息苦しくて、ストレスが嵩み、私は食欲がなくなっていきました。 
病院へ向かう足はどんどんと重くなる一方でした。 
胸にモヤモヤを抱えながら、私はA君に会いに行っていたのです。 
A君はついに、ごく稀にですが私の存在すら忘れる事もあるようになって、その頃には人懐っこい笑顔は 
全く無くなり、サッカーをしていたなんて思えない程体系が変わってしまっていました。

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418: 癒されたい名無しさん 2007/08/20 22:26:32 ID:HaGGKvs7
もうこのままきっと私は忘れられていくのだろうと思っていたある日の事です。 
おそらく言語練習の言葉なのでしょう、“パンダの宝物”という言葉をしきりに呟いていました。 
それが、私の顔を見て、力の入らなくなったやせ細った手でゆっくりと私の手を握り 
「○○(私の名前)は宝物…○○は宝物…」と繰り返し言うのです。 
看護婦さんは 
「あらあら、○○(私の名前)じゃないでしょー?パンダの宝物でしょー?」 
って、笑いながら通り過ぎて行ったけど、私は息が止まりそうでした。 
溢れる涙を抑えることが出来ませんでした。 
彼の手を両手で握りしめ、ごめんねと繰り返すしか出来ませんでした。 
辛かったのはいつだって彼の方だったのに、私は自分の事でいっぱいいっぱいで、 
そんな根本的な‥だけど一番大切な事を忘れていたんです。 
私はただ、自分が辛くて一人で逃げようとしていたんです。 
最低な自分に、怒りと憎しみと後悔が押し寄せ、同時にA君への愛しさが 
体中に溢れていくようでした。 
翌日、彼のお母さんから、多分これから先、良くなる事は無いだろうと… 
寝たきりか、もしくはこのままだんだん弱っていって亡くなってしまうだろうと告げられました。 
私は今度こそ逃げないと決めました。 
彼には良くなって欲しい。生きて欲しい。 
だけどもし、もしも寝たきりになったって私は傍に居たい。 
もしもこのまま亡くなってしまうのだとしても、その時まで彼だけを思い続け、彼の傍に居たい。 
そう思っていました。 
A君の部活仲間のB君の気遣いもあり、もう普通に病院に行く事も出来るし、過呼吸も無くなり、 
学校で何か言われても 
「私はA君の彼女だから。A君が好きだから」 
と、堂々と言い返す事が出来るようになっていました。

421: 癒されたい名無しさん 2007/08/23 12:25:06 ID:PPjYpZtw
>>418 
逃げたくなる気持ち分かるよ。 
俺もそうだった。 
でも最後にはちゃんと向き合えた事は立派な事だと俺は思う。 
結婚おめでとう。 
幸せになってくれ。

419: 癒されたい名無しさん 2007/08/20 22:28:15 ID:HaGGKvs7
しかし、やっと成長出来た私の心とは裏腹に、彼の様態は日に日に悪化していきました。 
もう回復が見込めないという事でしょうか、病院も移動になりました。 
この頃には私が行っても何も反応してくれなくなっていました。 
そんなある日、彼の唇が小さく動いているのに気付きました。 
耳を近づけてみると 
「俺の事忘れて…お前幸せになれ…」 
ちょっとカタコトのような、ハッキリしない言葉で、声と言うにはあまりに小さな消え入りそうな声だったけど、 
確かに彼はそう繰り返していました。 
私は思わず 
「何言ってんの!結婚するって言ったじゃん!私は本気だったよ。ずっと一緒だよ」 
と、声を荒げていました。 
自分は逃げようとしていた事もあったのに、勝手な私は、彼から「忘れて」と言われた事がとてもショックでした。 
もう会えないみたいに言われた事が、とても辛かった。 
彼の前では涙を我慢していましたが、病室を出た瞬間、声を殺して泣きました。 
後から聞いた話ですが、もうこの時の彼の記憶は曖昧で、本当に言葉も発する事が出来るような 
状態ではなかった筈だったそうなのです。 
次の日から彼は本当に何にも全く反応してはくれなくなり、数日後、亡くなりました。 
お葬式で彼のお母さんが 
「きっとあの時のAの言葉は、頑張って頑張って搾り出した、最後の言葉だったんだね…どうしても伝えたかったんだね。 
Aの事、忘れていいからね?幸せになってね」 
と、優しく言ってくれました。 
結局彼の事を忘れる事は出来ないけど、やっと、次の恋をする事が出来ました。 
この秋、私は結婚します。 
相手は、当時私を気遣っていてくれたり、A君の事をずっと心配してくれて何度も一人でお見舞いに来てくれていたB君です。 
将来子供が出来たら、絶対にA君の名前を貰おうと、そして二人目が出来たら、 
A君と考えた名前にしようと二人で話しています。 
いろんな事を教えてくれた彼を胸に、私は幸せになります。

422: 癒されたい名無しさん 2007/08/23 12:26:00 ID:PPjYpZtw
ついでにageていく

423: 癒されたい名無しさん 2007/08/30 19:46:21 ID:EqNFnYcc
地味に感動する話だな…

引用元: 【泣ける話】