547: ローカルルール変更議論中@VIP+ 2009/06/16 06:47:45 ID:Q3nupJSMO
免許を取って始めての夏休み、おいらは父親方の田舎へと一人でドライブということで車を走らせた。 
高速道路は料金が…と思い峠道を選んだ。 
のどが渇いたので自動販売機を探したけど峠道にはない。 
峠の入り口付近に、ある茶屋があった。 
古く今にも壊れそうな茶屋に寄ると、おばあちゃんが一人ポツンと座っていた。 

うどんを注文した。 
なんか美味しかった、不味いはずなのに、ニコニコ笑うおばあちゃんを見てると美味しく感じた。 
いろいろ話をした。 
息子の事、嫁の事、畑の事、そしてこの茶屋の事。 
高速道路が出来て車が通らなくなると茶屋は衰退し息子夫婦は出て行き自分が一人守ってる事。 
うんうんとうなずくおいらにおばあちゃんは久しぶりに話しできる相手を見つけて喜んでいた。 
話が弾んで裏の畑見るかい?と言われ畑へ行った。 
おばあちゃん自慢の畑だった。 
果物と野菜を生でガリガリ食べた、こんなに美味しい物を食べたのは今まで経験無かった。 
日が暮れて、おばあちゃんは「泊まってくかい?」とうれしそうに言う。 
しかし、おいらは恥ずかしくて「いいよ」と言い店を出た。 
翌年、同じ月同じ場所においらは訪れた。 
そしておばあちゃんは居た。 
おばあちゃんは家族のように迎えてくれた。 
まぁまぁ話して行きなさいと言い、おいらの顔も忘れずにうどんを出してくれた。 
また畑を見に行き野菜をもらいおいらは家路に着く。 
そんな事を2年間繰り返した。 

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3年目の季節、再び向かうとおばあちゃんは居た。 
ちょっと年とったけど元気だった。 
またうどんを食べて話をした。 
最近息子が全然顔を見せないのだと言う。 
悲しそうに笑った。 
そしていつもの「泊まっていくかい?」と言われ今回は「うん」と答えた。 
ふもとの町で酒を買ってちょっと贅沢な魚を買って、贅沢なケーキを買っておばあちゃんと暖炉を囲んでご飯を食べた。 
片付けをするとおばあちゃんはわるいねぇわるいねぇと言いながらお茶をすするとうれしそうな目でおいらを眺めていた。 
おいらも別にめんどくさくも無かった、ただおばあちゃんの話を聞いてあげる事で一人のおばあちゃんの心が和むのならいいと思った。

548: ローカルルール変更議論中@VIP+ 2009/06/16 06:49:38 ID:Q3nupJSMO
おばあちゃんは肩をしきりにさすっていたので、肩を揉んであげた。 
おばあちゃんは昔は息子がやってくれたと悲しそうに言う、固くていくらほぐそうとしてもほぐれなかった。 
手を見た。 
ボロボロの手だった。 
戦後復興の日本を支えてきた手だと思う。 
知らないおいらを泊める位だれかと話がしたかったんだと思うとちょっぴり泣けてきた。 
知らない息子への怒りも多少はあった。 
名前も何も知らないおばあちゃん。 
夜寝る前にいろいろ話をしてくれた。 
戦争の事、今の時代の事、旦那さんの事。 
おばあちゃんは最後に「私の息子みたいになっちゃいかんよ、あんた」 
「あんたは立派な大人にならにゃ」と言い眠りに付いた。 
次の日、おばあちゃんは朝から畑仕事で真っ黒になりながら畑にいた。 
手伝った。 
重い。 
自分の力の無さに恥ずかしい思いをした。 
一仕事終えて店にお客が来た。 
家族連れだった。 
子供がポラロイドを持っていたので話の流れでおばあちゃんと二人で撮ってもらった。 
おばあちゃんは恥ずかしそうに下を向き「わたしゃいいよ」としきりに話していた。 
出来上がりを柱に貼るとおばあちゃんはうん、よく取れてるねぇと写真を撫でていた。 
おいらは下の余白に「元気でね!」とペンで書くと、おばあゃんは喜んで大切にするよと言い笑った。 
帰る時、「もう一日泊まってけばいいにぃ~」と寂しそうに言ったがおいらも仕事があるからと帰路に着いた。 

続き
http://www.recosoku.com/archives/37510857.html 
引用元: また泣けるコピペを集めよう