100: 大人になった名無しさん 2007/06/06 14:33:14
前さ、研修医やってたときの話なんだけど 
主治医のサブみたいな形で、ある入院患者さんにつかせてもらってたんだ。 
患者さんは気さくなおじさんで、検診のたびに話し込んでた。 

お見舞いに来るのは大抵奥さん。 
毎日夕方に仕事終えて来てさ、洗濯物持って帰ったり、世間話とかしてた。 
奥さんもすごい良い人で、おじさんと同じくらい明るかった。 

そして、たまに息子もお見舞いに来てた。 
若くて今時のストリート系の感じの格好しててさ、ムスッとしてて結構怖かった。 
俺とは一切目を合わせてくれなくてさ、なんだかめんどくさそうだった。 
どっちかというと、母親から言われて、嫌々お見舞いに来てる感じだったかな。 

ある日の夜中さ、おじさんの容態が急変しちゃったんだ。 
元から病状は思わしくはなかったんだけど、おじさん、気力でカバーしてた。 
俺も初めての経験でさ、すごいあわてたけど、 
ナースと力合わせて、主治医が来るまでなんとか頑張った。 
主治医はすぐに家族を呼ぶようにって、指示を出して処置を始めた。 
それくらい、おじさんの容態は急を要してた。 

奥さん飛んできたよ。髪なんかもクチャクチャでさ、もう目が真っ赤だった。 

おじさん、だめだった。心停止から帰ってこれなかった。 
あんなに元気だったおじさんが、こんなに急になくなっちゃうなんて、 
医者の卵として恥ずかしいけど、なんだか信じられなかった。 

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奥さんにご臨終を告げると、奥さんおじさんにしがみついて泣き叫んでた。 
つらかった。 

そのとき息子が病室に飛び込んできた。 
驚いたことに、彼は警察の制服を着てた。汗だくだった。 
「とーちゃん!」って叫んだけど、奥さんの様子を見て悟ったと思う。 
がっくりうなだれて、黙ってしまった。 
彼の肩口の無線から、少しノイズみたいな音が漏れてた。 

しばらくして、かれは崩れ落ちてた奥さんを抱き起こした。 
椅子に座らせて、俺たちを向き直り、 
「いままで親父をありがとうございました!」と大きな声で叫んで、深々と頭を下げたんだ。 
顔を見せたときには、歯を食いしばって必死で涙をこらえてた。 
顔が真っ赤だった。 

たぶん警察官ってこういう人たちなんだと思った。 
制服を着ている以上、彼らは職務を全うしなければならないんだと。 
だけど、隠せない親子の感情とせめぎ合わされるんだろうって。 

ふてぶてしいと思ってたけど、彼はあのお見舞いのとき、警察官らしかったのかもしれない。 

なんか思い出してので…。長文ごめんなさい!

120: 大人になった名無しさん 2008/10/15 01:45:17
>>100 息子さんは、辛かったと思うよ・・・辛いから一寸でも気が弛むと感情を押さえきれなくなるから、ムスッとした態度取ってたんだろうね。

101: 大人になった名無しさん 2007/06/06 18:20:16
…あれは俺が22歳の入院中の出来事。生まれて初めて女性(看護婦さん)に上半身を拭いてもらいました。今ではあれが人生で1番良い思ひでです。

引用元: 昔見たり聞いたりした泣ける話を思い出し語ろう